オートポリスはこのシーズンオフにコースを全面改修。これまで、国内でもトップレベルの路面グリップの高さを誇っていたオートポリスサーキットだが、経年劣化によるギャップが多く、その部分でライダーの頭を悩ませてきていた。しかし今回の路面改修でそのギャップがなくなり、フラットでより高いグリップを発揮するコースとなった。
当然、元々高いグリップのコースである上に路面のギャップがなくなったということでラップタイムは上がっていく。そこで問題になるのが、1周のタイムが上がるのは把握できたが、レース周回数を考えたときに、ごれくらいのアベレージで走ると最後までタイヤマネージメントができるのか、という点だ。
金曜日のART合同テストは3本ともにウエット。土曜、日曜とドライが予想されていたことから急遽、土曜日のノックアウト方式の予選を変更。最初にQ1を行うのではなく、その時間帯をウォームアップ走行とし、引き続いてQ1、Q2と行い、時間が確保できないのでQ3は中止とされた。
結果的にレース1はヤマハタイランドレーシングチームのデチャ・クライサートとチャランポン・ポラマイの二人のトップ争いとなり、最終ラップに仕掛けたチャランポンがデチャに接触。チャランポンが転倒し、トップ争いに決着が付くこととなった。チャランポンはこの転倒で負傷。第2レースはキャンセルとなった。
第2レースも終始、デチャがコントロール。一瞬中冨伸一が前に出たが、デチャがすぐに抜き返してそのままチェッカーとなった。
4月末のテストの時点からタイヤマハの二人は好調で、チャランポンはせっかく設けられたウォームアップ走行でわずか5周しか走らずに2番手タイムを記録。一方のデチャはQ1で6周しかせず、3周を53秒台、1周52秒台へ入れて走行を終えている。
レース1はトップグループのタイムが1分53秒から54秒台。気温が5度上がり、路面温度がレース1より25度上がったレース2ではトップグループのタイムが1分54秒から55秒台と、予選で52秒台へ入れていることを考えると、どちらもスローペースだった。
結局これは、前述したコースサーフェスに対してタイヤマネージメントがどれくらいのペースでできるかどうか、手探りだったためと見るのが妥当なようだ。
相手が動いたら自分も動けばいい。
2レースともに制したデチャのレース展開は、正にそれを具現化したものだった。
第2レースのトップ争い。トップを快走するのは#30デチャ・クライサート