昨日はゲリラ雨に襲わてスケジュールが大幅に狂い、必然的に路面もウエットになってしまったことからチームが想定していたプログラムの多くは消化できなかった。優勝争いをするトップチームにとって、スターティンググリッドに並ぶまで準備しておきたい最大のテーマは燃費対策。これまでの優勝最多周回数は216周で、これは1スティント27周を重ねればクリアできる。ということは、これを超えようとすると、どうしても1スティント28周できるようにしなければならない。27周と28周。たった1周の差ではあるが、そこには大きな違いがある。5.8kmのコースを24リッタータンクに収められたガソリンで27周するためには、燃費的に6.525km/hの数値が必要となる。完全にガソリンを使い切るという考え方はリスクが高いため、ガソリンの残量を500ccとすると燃費は6.67km/h。これが28周になると6.9km/hとなってくる。わずか0.24km/hではあるのだが、速く走るためのアクセレーションを実現するインジェクションセッティングと燃費のバランスをギリギリまで削り、導き出された結果が昨年の1スティント27周となる燃費6.67km/hであり、もうそれは既に、楽に導き出した燃費ではない。それをさらに削っていく必要があるのだ。
現在、1時間のフリー走行がドライコンディションで行われているが、トップタイムはヨシムラSUZUKI Racing Teamの2分8秒472。2番手はF.C.C. TSR Hondaの2分9秒122。十分に速いタイムではあるが、今年の全日本開幕戦で記録された秋吉耕佑の予選タイム2分7秒121であり、決勝中のファステストタイム2分7秒551(秋吉)だったことを考えると、スローペースだ。しかし各チームとも、目先のタイムを追うよりもまず、前述した燃費の問題をクリアしなければならないのだ。
7秒台で走ることはできるマシン、ライダー、チームでありながら、8秒、9秒台で走らなければならない厳しいレース戦略。今年の8耐は、そんな状況となっている。
事前テストを終えて、トップ3チームの監督にコメントをもらいました。その取材をベースに作られた原稿が携帯サイト「モータースポーツチャンネル」にアップされています。レースウイーク入りする直前の各チームの状況がリアルに把握できます。興味のある方、ぜひご覧になってみてください。