「レースモードになれないから戸惑っている」とレース前にコメントしていた辻村だが、終わってみれば9位でゴール。タイム的にも予選で入れることができなかった2分10秒台に入れ、ベストは2分10秒497。レース中、10秒台で5周している。グリッドでは何を考えたいたかと訊ねると
「ツーリング気分で走ろう。ピークは今年の8耐へもっていけばいい。そう自分に言い聞かせていた」と言う。
それでも決勝中は、2、3周目を2分12秒台でクリアすると4周目に最初の10秒台。ここから10秒後半から11秒前半でラップし続けた。
「スタートして走っていたら前に集団が現れて、それを追っかけていたら余計なことを考えることもなくなり、走りに集中することができた。前で転倒があったりして9位は棚ボタだけど、久々のレースを楽しめた」と表情はとても明るいものだった。
「現役時代はストイックに、レースでの自分の勝利だけを追い求めてきた。でもそういうレースは環境があってのもの。それを求める環境を保つのは難しいと感じて2008年に引退した。もちろんレースは走りたかった。でもレースを止め、ゴルフ場の仕事だったり大型四輪免許を取ってトラックに乗ったりして、不況の現状だったり、お金を稼ぐということはどんなに大変かを経験してきたから、レースをすることはとても無理だと思っていたけど、ラッキーな縁でまたレースへ戻ってくることができた。いろんな経験をしてきているから、自分がレースを走ることで喜んでくれると、それが本当に嬉しい。それはもう、自分のレース結果がどうとか、そういうのは関係なく、とても喜びを感じる」と語る辻村。
今年のレースはこの後、鈴鹿8耐へ向けたテストを重ね、本番だけ。
「できれば8耐が終わったら、得意で好きなコースでもあるSUGOあたりのレースにST600のマシンで出てみたい。JSBはマシン差が大きいし、それをライダーの技量だけで覆すのは現実的になかなか難しいけど、ST600ならトップ争いに加われそうだし、そうすることで若いライダーの刺激になると嬉しい」とも。
今後も辻村の動きは注目していきたい。