made in japanへの誇り

8耐ウイーク中には二度ほど、「made in japan」の重要性について話を聞く機会があった。もちろんそれが我々日本人にとって非常に大事であることは認識していたが改めてその重要性について、取材という形の中で聞き、考えたことは自分にとっても本当に貴重な機会となった。
ネットでほしいと思っているものが少しでも安い値段で売られており、それがいいことだと認識して購入する。多くの人が、ごくごく当たり前のこととして行っているその消費者としての行動。でも安さを最優先して物を選び、購入することは、その多くが中国を中心とした東アジアで作られていることから、東アジア地域を潤すことになる。その結果、同じものを製作している日本でのビジネスチャンスは小さくなっていく。同時に、安さを追求し始めるとその限界はなくなっていく。少しでも安い労働力、高効率化をどんどん追求する。その結果、安かろう悪かろうが当たり前になり、結果的に使い捨て。『ものを大切に』、というごくごく当たり前のことが、当たり前ではなくなっていく。
手間に対しては手間賃、つまり利益がその対価として支払われる。そしてそれが、次のよりよいものを生み出す原動力になっていく。日本の高い技術は、そうして長い時間がかけられ、育まれてきたものだ。
物づくりの現場で話を聞くたびに痛感するあるエピソードがある。東アジアで物作りをするにあたっての、不良品に関するものだ。ものつくりの現場では、どうしても不良品の発生は避けて通れない問題となる。そのために東アジア地域では不良品が社外に出ないよう、チェック体制を厳しくしていく。対して日本でのものつくりの場合、製作方法を徹底して改善し、不良品が出ないようにする。一見すると大差ないような印象を受けるかもしれないが、根本的な部分で大きな違いがある。つまり、東アジア地域でのものつくりのベースには、不良品が出て当たり前という基本認識がある。だから、不良品が外部に出ないようチェック体制を厳しくしていくわけだ。対して日本の場合、不良品自体が出ないよう、根本的部分での改善をしようとするのだ。不良品が出て当たり前と考えるのか、不良品をゼロにしようとトライするのか、物作りをする上で、この差は大きい。というか、根本的な発想がまったく違うのだ。
そうした日本のものつくりの土壌で、下から全体を支える中小企業の職人は、今もより良い物をより高い精度で実現すべく、ストイックにその道を究めようと創意工夫を続けている。彼らがさらにその道を究め、私たちの生活をより良いものにするため方法は一つ。私たちがmade in japan製品を購入すること。
そしてこのことはあらゆること、例えばロードレースの世界でも同じだ。mada in japanということから多少、話はずれてしまうかもしれないが、物事を支えている部分にもっと意識をフォーカスすべき、という点ではまったく同じ話となる。
地方選を戦っているライダー、あるいはサンデーレースを楽しんでいるライダーが何か、例えばタイヤを購入しようとするとき、インターネットで安く販売しているネットショップを探し、購入したとする。交換は近くのバイクショップに持ち込んで、あるいは自分で組む。
そしてバイクのセットアップなどに関する情報は、所属するチームで得るとする。ではそのデータを提供するショップは、どうやって成り立っているのだろうか? 他では得られないからこそ、そのライダーはチームに所属し、さまざまなデータを得る。チームのベースとなるショップがよりよい活動をし、より精度の高い情報を入手する環境を作るためには、多くの人がそのショップで物を購入したりして潤す必要があるのだ。
レースを協賛するスポンサーに対しても、同様だ。協賛があってこそ、エントリフィーも従来の価格を維持することができるわけだし、賞品なども生まれてくる。協賛スポンサーのものを購入することが、結果的に自分のレース活動をより行いやすい環境を作るのだ。
ブレーキ、サスペンションといった機能部品をネットショップで安いところがあったからと購入する。そうしたところはパーツを販売したら、あとは何もない。対して、レーシングショップなどはそのパーツに関してのさまざまな情報、メンテナンス方法だったり取り付けや使い方のアドバイスだったりというソフト部分の提供も期待できるだろう。安いからと購入することで、本当は大きな損をしてしまっている可能性があるのだ。
そういう意味からも、どうしてもその製品を買わなければならないという理由が存在しない限りは、made in japan製品を、そして世話になっているショップで物を購入すべき。
安いからとそこだけを気にして買っていると、とても大切なものをいつか失ってしまう可能性が大きい。そのことはしっかりと肝に銘じておくべきだ。
そんなことを改めて考えた、8耐ウイーク中の取材だった。それらの取材に関する一部の話は、8月24日発売のライディングスポーツ誌に掲載されます。よかったらご覧になってみてください。

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