どんなスポーツでも、若手育成はお金がかかる 使うタイミングが重要

子供のスポーツとお金の関係は切っても切れないものがある。

特にモータースポーツは、多くのスポーツの中でもお金がかかる種類に属する。基本的に機械をつかうスポーツであるから、その『機械』を手に入れなければスポーツとして成立しないわけで、シューズやウエアなど、身体だけを使う他のスポーツと比較すると、お金はどうしてもかかってしまう。

だからと言って湯水のごとく使えるような環境の人は別として、多くの人は限られたお金を有効に使わなければならないわけで、この『お金』の問題は、多くの才能豊かな子供を持つ親にとって、大きな悩みとなる。

何度も言って恐縮だが、基本的にモータースポーツはお金のかかるスポーツだ。

これは間違いない。

ただ、同じお金の使い方でも、『有効』な使い方と『そうではない』使い方があり、さらにいうと使うべき『タイミング』というものがある。

有効な使い方に関しては、若手育成に長けた指導者に付くことで対策できるだろう。練習、レース参戦は大事だが、どんな目的でさらにどのような内容の練習をするのか、レース参戦をするのか常に考え、その方法によってコストを抑えることが可能となる。

タイミングに関しては、例えばATCに選ばれ、参戦する際が、お金を使うべき時期となる。ここで上位に入るかどうかで、その後のレース人生は大きく左右されるわけだから、可能な限り優秀で経験豊富なメカニックの帯同をさせるべき。それはそのままコストがかかるということになるが、でもここでお金を出し惜しみしては、そもそもそれまで何をするために育成してきたのか分からなくなる。

ここでも書いたが、ATCは結果を出す場で、成長させる場ではない。

結果を出すためにどうしたらよいのか。それをしっかりと見極め、方策を取らなければならない。

そしてそこに資源を投入するために、それ以外のコストは抑えるべきだろう。見に行きたい気持ちは分かるがそれを我慢して抑え、先々のレース資金として使うことが大事だろうし、移動などに関しても、できるだけ一緒にレースを戦う仲間とシェアすることで、抑えることが可能となってくる。

また、その先の話でいえば、世界に出るチャンスを得た時、具体的に言えばMotoGPのシートが得られるかどうかというタイミングでも、お金がかかる場合がある。ATCからCEV、さらにMotoGPというステップを踏めるのであれば、そこはメーカーの支援を受けることができるので、個人負担はほとんどない。しかし自分たちの意思、つまりメーカーの支援なしにMotoGPのシートを得ようとすると、どうしても持参金が必要となる。これがその後のチャンスをつかめるかどうか、大きなポイントとなる。

お金を使うべきタイミングは正にここだ。

そうしたレースキャリア全体を俯瞰で見ながらタイミングを計るのも、優秀な指導者の腕の見せ所。しかしその腕を発揮してもらうためにも、親御さんはこうしたお金の使い方とタイミングについては理解しておく必要がある。

これは本当に大切なことだ。

ただ、お金は間違いなくかかる。それは紛れのない事実。

しかし、他の多くのスポーツとは比較にならないくらい日本人が活躍できるジャンルであり、世界チャンピオン獲得も夢ではない。それは実際に、坂田和人、原田哲也、青木治親といった世界チャンピオンを輩出してきている歴史を見ても明らか。

プロフェッショナルなアスリートとして世界の頂点に立つことは大きな意義を持ち、また相当な収入が得られるようになるのも事実。目指す価値は十二分にあると思う。