エリート育成には、それに相応しい指導者が必要

エリートは、優れた能力を持つもので、その能力は社会に貢献すべきと前回、ここに書いた。

優れた能力をさらに引き上げるには、彼らに接する指導者もそれなりでなければならない。

サッカーの世界でよく言われるのは、相手が子供だからと、小さい大人として扱うべきではない、ということ。

得てして、彼らの競技能力が高いからと、我々大人の感覚で接してしまい、精神的未発達である彼らの心の部分に対してケアをせずにトレーニングしてしまいがちだ。しかし、どれだけバイクに上手に乗れて、例えフルコースのサーキットでコースレコード近くのタイムで走れたからといって、基本的には一人の小学生だったり中学生だったりする。

大人と同じように彼らと接するのはナンセンスで、子供は子供としてサポートする必要がある。

そうした彼らの精神面に対しては、小児心理学を勉強する必要があるだろうし、そうした観点からいうと、アドラー心理学などは必須になってくる。

これもサッカーの世界で指導者に向けた講習会などでよく紹介される言葉だが、「学ぶことを止めた指導者は、教えることを止めなければならない」というものがある。

常にスポーツは進化しているし、また心理学、栄養学、トレーニング方法などもスポーツを取り巻く様々な学問も日進月歩。レースのことは知っているからと、そういうレベルで若手育成に関わるのは非常に危険だし、そうしたことが貴重な才能を潰してしまうことになりかねない。

さらに、エリートコースを歩むためにはここで書いたように、1年1年がとても重要な時間となる。その貴重な時間を有効に使うためにも、指導者選びは重要だ。