今日のART会議

今日から鈴鹿で、全日本第2戦鈴鹿2&4がスタート。
毎回、金曜の夕方にサーキット内施設で、ART会議が行われている。僕はARTの広報を担当していることから毎回、議事録を取る作業もあって参加している。

今回の会議の中心の話題は、17インチホイールにしようという方向でMFJロードレース委員会、タイヤ部会が話し合いをしている、ということから始まった、全日本の頂点クラスを今後どうすべきなのかというテーマだった。
 17インチ化に関しては、ローコスト化を進めるため、現状で主流の16.5インチタイヤをやめ、17インチでしかもホイールはアルミ製に限るというものだ。
 これに対して会員から、17インチのアルミ化にしても、まず現状の16.5インチホイールから買い換えなければならず、しかも17インチアルミでも、より軽量なものがほしいので高価なアルミ鍛造ホイールを使うようになると、結果的にローコストにならない。アルミ製ホイールにするなら、純正に限るなど、どんなアルミ製ホイールなのか詳細に詰めるべき、という話が出た。
 さらにこの話から、全日本JSB1000クラスは鈴鹿8耐につながるクラスで、前哨戦として鈴鹿300kmもある。全日本と世界耐久選手権とのレギュレーション面でのリンク図っておかないと、結果的に全日本と鈴鹿300km、および8耐とはまったく別にコストがかかってしまう、という話が出た。
 これに対してロードレース委員会やプロモーション委員会に出ているART理事から、全体的な方向としてはまったく別のレースと考えており、17インチ化することで鈴鹿300kmや8耐とレギュレーション面でシンクロさせるようなアイデアは現時点で感じない、と説明されていた。
 そこで会員から提案されたのが、そうして8耐にシンクロせず、コスト的にも非常にかかるJSB1000クラスを全日本の頂点クラスとして続けるべきなのか、というものだった。世界的経済不況により、車両メーカーからの援助も薄くなり、結果としてチームの負担が増えてきている。そうした状況の中、さらにはスポンサー獲得チャンスがあるとされる鈴鹿8耐とレギュレーション的にリンクしない、コストのかかる、しかも年に7戦しか行われない全日本JSB1000を続ける意味はないのではないか、というものだった。
 ショップ系チームからは、日本国内で600ccはマイナーなクラスで、やはりJSB1000を戦っているから1000ccスーパースポーツ車両が売れる。1000ccでレースをする意味は大きい、というものだった。
 ローコスト化を進めるなら、ST1000など、より改造範囲を狭めたクラスだろう。マシン作りの部分を強調したいなら、J-GP2クラス的な1000ccマシンで行うJ-GP1といったところか。以外に聞こえるかもしれないが、スタンダードパーツではなく、アフターマーケットパーツが使えるレギュレーションのほうが、チームとしての負担は意外と少なくなる。なぜならば、スタンダードパーツはほぼ毎年マイナーチェンジされ、マシン自体を買い換えていかなければならないが、GPレギュレーションなら旧型でも、新型との性能差を使用するパーツの組み合わせや加工などで埋めることができるのだ。
 また興味深かったのが、開発タイヤなどスペシャルなものを使うチームと、市販タイヤしか使えないチームの性能差をどう評価するか、というものだった。前述のホイールの17インチ化も、一つの狙いとしてはイコールコンディション化というものが、当初はあった。現時点では、17インチの市販タイヤのみ、という文言が、確認はできていないので断言はできないが、試案に含まれていないようなのだ。つまり、17インチ化になったとしても、タイヤの差は生じる可能性がある。
 それに対してあるチームオーナーは、開発タイヤを履くライダーとチームはその秘める性能を発揮させるだけの技術を持っているからそれに見合ったラップタイム、レースタイムを記録することができるわけで、そうした技術を持っていないチームに開発タイヤを供給しても、トップチームが見せるようなパフォーマンスを発揮するのは難しいだろう。また、市販タイヤをトップチームが履いたからといって、レベルの低いラップタイム、レースタイムになるかというと、それはそれで違うのではないか、という話が出た。
 さらにある人から、開発タイヤを供給されるライダー、チームはそれだけの実績を積み、タイヤメーカーや車両メーカーに認められたからその位置にいるわけで、現状でそれが供給されないチームでも、成績を残していけば、同じものを手に入れる位置にいくことができる。それがレースの世界だと思うし、そのために努力を続けているのだから、イコールコンディションじゃないレースの世界が違うというのは根本的に違うと思う、という意見も出た。
 レースの世界に、残念ながらイコールコンディションはありえない。改造範囲の狭いST600クラスでも、プロフェッショナルなレーシングチームは毎レースごとにエンジン、車体はフルオーバーホールされ、組み込まれるパーツは公差の少ないものが厳選される。1シーズン中に1、2回オーバーホールするのが精一杯というプライベートチームとは、レースウイーク入りする時点で大きな差ができているのだ。しかしそれを、ライダーやメカニックといった人間の力で覆すことができる。それもレースの大きな魅力。
 自分のやるべきことを他におき、権利で差を詰めようとしても結果は目に見えている。
 非常に興味深い、今回のART会議だった。そして重要なのが、こうしたエントラントの考えを、どうやったらしっかりレギュレーションに反映していくことができるか。現状ではなかなか難しい部分ではあるが、諦めずにアプローチし続けるしかない。

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