NSR250R その進化と軌跡 (ヤエスメディアムック658)  書けなかったエピソード3

10月29日に発売になりました。

小澤源男さんのインタビューもいつもとても興味深いものとなる。
今回ももちろん、とても勉強になる内容だった。
うかがった話のほとんどは本誌の中に書いたが、個人的に特に面白かったのは、本文中の後半部分に書いた「余談」のところだ。
ドン付きの解消方法とベンチ上で判断する危うさについて話が及んだのだが、ドン付きが出ると、メカニックはどうしても起きている回転数のところをフォーカスしがち。でも良く考えてみれば分かることだが、手前の回転域が綺麗に燃焼していないから、アクセルを開けていったときにドンと付いてくる領域ができるわけで、問題解決を図るには、その手前のエリアを見なければいけない。

これも少し本文に書いたが、ロガーでA/Fやサスペンションのストローク量、タイヤのスライド量など数値で見ることができるので、ライダーのコメントを基にマシンがどのような状態になっているか数値で見やすくなっている。でも数値はあくまでも数字でしかなく、エンジンの特性とサスペンションの動き、マシンの姿勢など、複合要素を考えていかないと、ライダーが感じている問題点を解決することは難しい。

ベテランのメカニックが「ロガーばかり見てないで、ライダーと徹底的に話をしろ」という話をよく聞くが、言いたいことはそういうことなのだろう。

AIだ、ディープラーニングだと世間で騒がれているが、そうしたものを基に最終的に判断していくのは人間だ。数値に振り回されては、根本的な問題解決には至れない。的確な判断と解決策を図るにはやはり、経験と洞察力が大切だ。
それは普遍。

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